概要
御社守稲荷は「藤守八箇森(ハッコー森)」の一つ、「椀貸の森」に鎮座する。
オシャモリサン、オシャモジサン、おしゃもつ様、中島のお稲荷さん、柿崎のお稲荷さんなどと呼ばれている。
昭和三年に当地に遷座。それ以前はもう少し南の土手にあったそうだ。
当初は柿崎を含む中島東組で祀っていたが、戦後、中島地区(シマ)全体で祀るようになったという。
御利益としては、失せ物を戻してくれたり、在り場所を何らかの方法で知らせてくれる。
また、心配事、悩み事を解決してくれるとのことである。
(東京女子大学民俗調査団「藤守の民俗」、大井川町婦人団体連絡会「ふるさとの年中行事」、「大井川町史」)
踏査結果・考察
住宅地図を眺めていた際に発見したシャグジである。
その後、資料調査をする中で「藤守八箇森」の伝承を知った。
この八箇森の一つに「オシャモジの森」があったため、当初、御社守稲荷はオシャモジの森に鎮座しているのだろうと考えていた。
ところが、御社守稲荷を訪問してみると、「オシャモジの森」ではなく、
「椀貸の森」の案内板が設置されていた。
状況が理解できず混乱したが、
資料をよく確認すると、御社守稲荷は昭和三年以前は別の場所で祀られていたという。
また、八箇森の「オシャモジの森」は柿崎でなく、
柿崎の500メートル程南西に位置する字松木根にあったとされる。
つまり、御社守稲荷は「オシャモジの森」とは別の、比較的新しく祀られたシャグジのようだ。
地元でも混乱があるようで、資料によっては伝承が入り混じっている。
実際、シャグジは屋敷神として祀られることもあり、同地区に複数の伝承があっても不思議ではない。
御社守稲荷は稲荷信仰と文字通り融合した、農耕神の性格が強いシャグジである。
なお、「藤守八箇森」については次の記事で詳しく触れたいと思う。
2022/8/11、2024/4/29踏査
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