上小杉八幡宮(社護神社)

焼津市上小杉字本郷85

上小杉八幡宮

概要

上小杉八幡宮は旧志太郡上小杉村の氏神である。
建長二年(1250)、諸国巡遊中の北条時頼に村民が氏神の勧請を言上し、鶴岡八幡宮からの分祀が許されたという。

上小杉八幡宮鳥居
上小杉八幡宮拝殿内

境内の形象や社殿は鶴岡八幡宮を模して造営されたといい、放生池の源平池は今も残る。

宗像神社
源平池内の宗像神社

また、特殊神事として流鏑馬、承久以来の旧式と称する神相撲が伝わる。

境内社に熊野神社、社護神社、津島神社、稲荷神社、宗像神社がある。
このうち熊野神社については弘安年中(1278~1288)から奉斎と伝わるが、
他の境内社の由緒については、元禄期に神社及び神官宅が火災に遭い旧記を失ったため、不明である。

社護神社、熊野神社
社護神社、熊野神社
津島神社、稲荷神社
津島神社、稲荷神社

なお、社護神社の祭神は大名牟遅神、小名毘古那神とされる。

(「大井川町の民俗芸能」、「大井川町史」、「静濱村誌」、「志太地区神社誌」)

踏査結果・考察

上小杉八幡宮は平成二年に火災により全焼したため、現在の社殿はまだ新しい。

現地に由緒書等はなかったが、境内社殿には社名が明示され、社護神社の現存も確認できた。

社護神社

さて、当地は駿河国で最初に成立した御厨とされる小杉御厨に当たると考えられており、以前は八幡宮に神明宮も併斎されていた。
神明宮は平安末期までに成立したとされる御厨当時からあったものと考えられ、その後八幡宮を併斎したのだろう。
神明宮は元禄年中に下小杉へ奉遷後、再び当社に合祀されたが、
昭和六年に再度下小杉津島神社(天満宮)に奉遷。その後は廃社扱いになってしまったようだ。

下小杉津島神社(天満宮)境内の神明宮遷宮記念碑
下小杉津島神社(天満宮)境内の神明宮遷宮記念碑

こうした経緯は当社の中世創建伝承を裏付ける。
社護神社の創建時期や、八幡宮の境内社となった時期を示す資料は見当たらないが、
あるいは同時期の勧請だったのかもしれない。

ところで、社護神社の祭神である大名牟遅神、小名毘古那神は、他の地域のシャグジには見られない祭神である。
一方、同じ旧大井川町内の吉永八幡宮に合祀されたシャグジの祭神は少彦名神とされている。

その理由は不明だが、当地には庚申の本尊としての猿田彦を祀る碑が多く見られる。
あるいはそれらと区別したということなのかもしれない。

猿田彦大神碑
左:上新田猿田彦大神 右:上小杉猿田彦大神

2023/8/19踏査

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