概要
「尾羽のおしゃもじさん」は、尾羽字宮平にあったとされる「小高い場所」のことである。
ここを掘り起こすと瘧(おこり)をふるうと言い伝えられていた。現在はみかん畑となっている。
(民話・伝説・小字の由来「いほはら」より)
おしゃもじさんがあったとされる尾羽字宮平には若宮八幡神社がある。
宮平の「宮」はこれに由来すると考えられる。
また、「小高い場所」とは、この若宮八幡神社の東側、松雲寺の南側にある丘陵地を指すと思われる。
ただし、祠等の存在は記されていないため、伝承の確認は難しそうである。
踏査結果・考察
現地は東名・新東名清水JCTの至近に当たり、東側にはアイエイアイの工場等も立地するなど、開発が進んだエリアとなっている。
しかし、丘陵地の北東に沿った若宮八幡神社や松雲寺がある一角は、かろうじてかつての尾羽を思わせる雰囲気が残されていた。
まずは若宮八幡神社に参拝した。
庵原村誌では津島神社、天満宮、金比羅宮のみが境内社とされているものの、
もしや「おしゃもじさん」が寄せられていないかという淡い期待を抱いての参拝だったが、シャグジの痕跡を見出すことはできなかった。
続いて「小高い場所」を探索してみた。確かにみかん畑になっている。
しかし、農作業をしていた方に聞いてみても「おしゃもじさん」については御存知なかった。
特に障碍神の性格を持つシャグジの場合、祠を持たず、場所自体を指すことが多い印象を受ける。
記録に残されていない例が多いと思われるが、引き続き伝承の収集に努めたい。
2023/4/29踏査
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