概要
北沼上八柱神社の祭神は正哉吾勝々速日天忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)。
ほかに、久那斗神、八衢比古神、八衢比賣神が祀られる。
江戸期には八王子社と称し、明治二年に八柱神社に改称した。
境内社は天神社、山神社、稲荷神社。
大正二年に同所坂下に鎮座する左口神社を合祀したが、昭和二十二年に分祀したという。
(静岡市神社名鑑、千代田誌)
踏査結果・考察
左口神社の分祀時期が戦後であることから、実態は旧地への復祀だったのではないかと考える。
三十年以上の合祀を経た後にあえて復祀したことから、地域にとって大切な存在だったことが窺える。
今のところ復祀後の現況は不明である。
実は同じ北沼上の田ケ谷にも左口神社がある。
ただし、地区が異なるため、おそらくは別のシャグジと思われる。
とはいえ、駿河志料や駿河国新風土記に記された北沼上の左口社は一社のみである。
このため、別のシャグジと断定はしきれない。
また、北沼上八柱神社は江戸期まで神仏習合の八王子社だったが、明治の神仏分離に伴い八柱神社に改称している。
その際、主祭神を牛頭天王の八王子から天忍穗耳命に変更したものと思われる。
ただし、天忍穗耳命以外の祭神である久那斗神、八衢比古神、八衢比賣神は民間信仰の神である。
これは、本来の八柱である五男三女神とは異なる。
さらに、久那斗神、八衢比古神、八衢比賣神はシャグジの祭神とされることも多い。
その上で、千代田誌には、左口神社が合祀されたことは記載されているものの、分祀については記載がない。
このため、左口神社が今も合祀されているようにも見える。
いずれにせよ、分祀後の左口神社が見つかればすっきりするのだが。
2022/8/28踏査
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