概要
大渡神社・佐久地(さくち)神社は、黒俣村上和田にあった佐久地神社を明治八年に同村久能尾の大渡神社に合祀した神社である。
また、明治二十五年頃、同村尾沢戸城山にあった天満宮も合併している。
大渡神社・佐久地神社の祭神は瀬織津姫命と猿田彦命。
配祠神は以下のとおり。
菅原道真公(天満宮)
弥都波能賣神(水神社)
天照皇大神(神明社)
埴安比賣命(地神社)
踏査結果・考察
神社名については、静岡市神社名鑑、安倍郡清澤村誌、静岡県安倍郡誌のいずれにおいても佐久地神社となっている。
ところが、現地の掲示には佐宮司神社と記載されていた。棟札等の表記だろうか。
祭神については、現地の掲示では大渡神社が猿田彦、佐宮司神社が瀬織津姫となっていた。
大渡の語意は不明だが、「渡」が黒俣川に関連するならば、大渡神社の祭神を水神である瀬織津姫、
佐久地神社の祭神をシャグジ系に多く見られる猿田彦と考えるのが自然ではないだろうか。
その後、静岡県安部郡誌に以下のように明記されていることが確認できた。
大渡神社 瀬織津姫命
佐久地神社 猿田彦命
駿河ではかつて各村ごとにシャグジが祀られ、稲荷と同様の身近な存在だったという。
一方、安倍川流域の山間地における神社は白鬚神社が主流を占める。
本社は玉川地区落合の左口神社とともに、数少ない山間地に鎮座するシャグジである。
駿河シャグジは、その多くが道祖神的な境界神の性質と農業神の性質を併せ持つ。
このため、平野部を中心に祀られることが多かったのではないだろうか。
2021/9/20踏査
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