概要
新伝馬白髭神社は、かつての伝馬町新田村の氏神である。
伝馬町新田の村名は、当地が府中伝馬町の役馬の秣場だったことに由来する。
宝永年間に開村された新田のため、当初は村内に寺社がなかった。
このため、隣村である松富下組(現昭府町)の貴庵寺に鎮座する左口神社を産土神として奉斎していたそうだ。
弘化三年(1846年)、現在地に社殿を新築し、建内宿弥命を勧請。
併せて、それまで信仰してきた左口神社の祭神八衢比古命、八衢比賣命も勧請し、
白髭神社と称するようになった。
(「静岡市神社名鑑」及び現地由緒書より)
踏査結果・考察
新伝馬白髭神社は江戸時代後期に創建されたため、当時の地誌には記録がない。
一方、松富の貴庵寺については記録があるが、境内に左口神社が鎮座していたことは記されていない。
ただし、駿河記に貴庵寺の鎮守は白髭神社とあるので、当社と同様にシャグジも祀られていたのかもしれない。
なお、貴庵寺の白髭神社は菖蒲神社に改称され、現在も寺の境内に鎮座する。
左口神社の行方は不明である。
賤機山と安倍川に挟まれたこの賤機地区には、他にも門屋と郷島にシャグジがあった。
いずれも祭神に八衢比古命、八衢比賣命が含まれるが、猿田彦は奉斎しないという共通点がある。
賤機地区は稲作の適地が乏しい地域であり、平野部のシャグジとは信仰形態に違いがあったのではないかと思う。
2023/2/4踏査
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